相続放棄とは?相続放棄後の管理責任や空き家を手放す方法を解説!

相続放棄とは?相続放棄後の管理責任や空き家を手放す方法を解説!

現代の日本社会において、空き家率の増加は社会問題視されています。
親から実家を相続することになったものの、維持管理ができないなどの理由から、相続放棄を視野に入れている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、これから空き家を相続する予定のある方へ向けて相続放棄の概要や相続放棄後の管理責任の有無、相続放棄をしないで空き家を手放す方法について解説します。

空き家の相続放棄とは何か?

空き家の相続放棄とは何か?

そもそも相続放棄とはどのような制度なのかがよくわからない方も多いでしょう。
まずは、相続放棄の基本ルールについて解説します。

相続放棄とは?

相続放棄とは、被相続人(亡くなった親など)の遺産を一切相続しない意思表示をおこなう手続きです。
相続には土地や建物、預金、株などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含まれます。
そのため、相続によって不利益を被るおそれがあるときに選択されるケースが一般的です。
通常、相続人は被相続人の財産や権利を受け継ぐ義務がありますが、相続放棄を選択するとその権利や義務を放棄できます。
ただし、空き家の相続放棄は単に「家をいらない」と意思表示することではなく、法的にすべての遺産を放棄する行為です。
つまり、空き家だけを相続しないといった部分的な放棄は認められていません。
したがって、空き家が不要であっても、預貯金などの資産を引き継ぎたいときには慎重な判断が求められます。
なお、自分が相続するはずだった財産は、ほかの相続人が分け合って受け継ぐことになるので、自分の子どもに相続権が移ることもありません。

相続放棄の期限と手続き

相続放棄には明確な期限と法的な手続きが定められています。
具体的には、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をおこなわなければなりません。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続するかどうかを検討する猶予が与えられています。
相続放棄の手続きの流れは以下のとおりです。

●1.必要書類(戸籍謄本・被相続人の除籍謄本・相続放棄申述書など)を収集
●2.被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出
●3.裁判所で審査がおこなわれる
●4.審査通過後、相続放棄申述受理通知書が発行される


手続きを忘れたり、3か月の期限を過ぎたりすると法的には相続を承認したものとみなされます。
そのため、空き家の相続放棄をしたいのなら早めの対応が不可欠です。
なお、3か月以内に相続放棄をするかどうか判断できないときには家庭裁判所へ申し立てると期間を延長してもらえる可能性があります。

民法改正で変わった相続放棄後の管理責任のルール

民法改正で変わった相続放棄後の管理責任のルール

2023年4月の民法改正により、相続放棄後の空き家の管理責任に関するルールが明確化されました。
トラブルを未然に回避するためにも、変更後のルールをしっかりと押さえておきましょう。
ここでは、相続放棄後の管理責任に関するルールの変更点について解説します。

相続放棄後の管理責任に関するルールの変更点

民法改正により、相続放棄しても現に占有していたケースでは次の相続人や相続財産清算人に財産が引き渡されるまで最低限の管理義務が残るとされました。
具体的には「倒壊の危険性があるときには適切に修繕する」「近隣住民に迷惑をかけないように最低限管理をおこなう」「ゴミの放置を防ぐ」などです。
条件に該当するときに空き家を適切に管理しないと、相続放棄をしても行政から指導や是正命令を受けることがあるため注意しましょう。

相続放棄後に管理責任を負わなくても良いケース

一方で、相続した空き家を占有していない、つまり遠方に家があって実家に住んでいなかったときには原則として管理義務は生じません。
また、空き家の相続放棄を選択したあとで、ほかの相続人が空き家を相続したときにも管理責任を負う必要がなくなります。
もしほかに相続人がいないときには、家庭裁判所に申し立てて相続財産清算人を選任してもらうと、空き家の管理責任から解放されます。
相続財産清算人とは、亡くなった方の財産を清算して最終的に残った財産を国に納める人です。
ただし、相続財産清算人の申し立てには費用がかかるだけでなく、実際に選任されるまで半年以上の期間がかかることもあるため、スケジュールとコストの見通しが必要です。

相続放棄をせずに空き家を手放す方法

相続放棄をせずに空き家を手放す方法

相続放棄をすれば空き家の管理の手間は省けますが、同時に預貯金などのプラスの遺産も放棄することになるため、必ずしも得策とはいえません。
そのため、相続を選択したうえで空き家だけを手放す方法も検討の余地があります。
ここでは、相続放棄をせずに空き家を手放す方法について解説します。

空き家を手放す方法①売却する

相続した空き家を自分で活用する予定がないときには、売却して手放すのは選択肢の一つです。
たとえば、空き家の立地や状態が良ければ、中古住宅としてそのまま売却できる可能性があります。
たとえ空き家の築年数が古くて建物や設備の状態が悪いときでも、古家付き土地として売り出すことが可能です。
古家付き土地とは、あくまでも土地として売却する方法であり、売却価格に建物の資産価値が反映されない点に特徴があります。
売主にとっては、建物のリフォーム費用や解体費用を負担しなくても良い点がメリットです。
一方で、空き家の状態があまりにも悪いときには、建物を解体し、更地にしてから売り出すのも一つの方法です。
ただし、解体費用として数十万円~100万円単位の費用がかかることもあるため、まずはそのまま売却できないかを不動産会社に相談してみましょう。

空き家を手放す方法②近隣住民に売却を持ちかける

相続した空き家を手放す方法として、近隣住民に購入を持ち掛けることが挙げられます。
近隣住民が土地の拡張を希望していることもあるため、ダメ元で交渉してみるのは手段の一つです。
とくに住宅密集地では、土地の拡張により建て替えや増改築の幅が広がるため、前向きに話に乗ってくれる可能性があります。
ただし、個人間売買では、売買価格や契約条件などを巡ってトラブルが起こるリスクがある点に注意が必要です。
そのため、契約時のトラブルを回避したいなら、間に不動産会社を挟んだうえで隣人と交渉することが大切です。

空き家を手放す方法③寄付する

空き家を自治体に寄付して手放す方法もあります。
ただし、自治体が空き家の寄付を受け入れると固定資産税などの税収が減ることにくわえ管理費用が余計にかかるため、寄付を申し出ても断られる可能性が高いのが実情です。
また、空き家の寄付相手としては、NPO法人や個人なども挙げられます。
しかし、寄付相手が法人や個人だと寄付を受け入れた相手に贈与税が課されることがあり、受け入れ側の負担が大きいことから断られるケースがほとんどです。
そのため、相続した空き家を手放したいのなら、まずは地域の不動産会社などの専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内相続放棄を選択すると、はじめから相続人ではなかったとみなされるため空き家を相続せずに済みます。
しかし、親と同居をしていたなど現に占有していたときには相続放棄を選択しても次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで空き家の管理責任が残る点に注意しましょう。
相続する予定のある実家を今後も利用する予定がないのなら、いったん相続したうえで売却するのも選択肢の一つです。

新庄 延行新庄 延行

新庄 延行

■キャリア
23年
■資格
宅地建物取引士

リゾート物件の活性化を目指し、休眠分譲地・空き家の再生・循環を目標とし活動しております。伊豆・熱海、甲信・中部、北関東・東北、近畿などその他エリアを含むグループ会社所有別荘地を販売しており、破格で別荘地をお求めになる事ができます。ご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

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