生活保護を受けるには不動産売却が必須?家に住み続ける方法も解説

不動産の売却・処分

生活保護を受けるには不動産売却が必須?家に住み続ける方法も解説

生活保護の受給を考え始めたときに、「今の家や土地はどうなるのか」と不安を抱く方も多いでしょう。
生活保護制度では資産の保有に一定の制限がありますが、必ずしも不動産を売却しなければならないわけではありません。
条件によっては所有し続けられたり、住宅の売却後も住み続けられる制度を活用できたりします。
この記事では、生活保護の受給要件と不動産の扱いの判断基準、家を所有したまま受給できる特例などを解説します。

生活保護と不動産売却の関係:受給要件について

生活保護と不動産売却の関係:受給要件について

生活保護を検討する際には、制度の基本要件を理解しておくことが欠かせません。
とくに持ち家の扱いは誤解されやすいため、正確な知識が必要です。

生活保護の3つの要件

生活保護を受けるには、申請した世帯全体が一定の基準を満たしているかどうかが重要です。
生活保護は「最後のセーフティネット」と位置づけられている制度であり、申請者が自立に向けて努力しているか、利用できる資産がないかなどを総合的に確認したうえで決定されます。
とくに重要視される3つの要件は以下のとおりです。
収入要件
要件のひとつとして、最低生活費より収入が下回っていることが前提です。
最低生活費は家族構成や年齢、居住地域などによって異なり、食費や光熱費、住居費を含む基準額が細かく設定されています。
資産要件
生活費に充てられる資産の有無も受給可否の重要な判断材料です。
預貯金はもちろん、生命保険の解約返戻金、不動産、自動車など、現金化できる資産は基本的に活用したうえで申請することになります。
ただし、資産がどの程度認められるかは自治体や状況によって異なるため、個別に判断されます。
能力活用要件
働ける能力のある方は自立のため就労に努める必要があります。
病気や障害、介護などの事情がある場合は、就労が困難と判断されることもあります。
なお、受給時には通帳や給与明細などの提出が求められ、虚偽申告があると受給金の返還や減額の対象になるため注意が必要です。

不動産は資産として扱われる?

不動産は原則として「活用すべき資産」に分類され、生活費に充てるための売却が求められる場合があります。
ただし、用途によって扱いが異なり、空き家や田畑、投資用物件は原則売却が必要です。
一方で現在住んでいる持ち家に関しては、売却せず保有が認められるケースもあります。
「著しく高額な不動産でないこと」が原則で、個別の状況に応じて判断されます。

売却が必要になるケースは?

以下のような状況では、売却を求められる可能性が高くなります。

●居住用以外の不動産を所有している
●持ち家が著しく高額である
●住宅ローン残高が多く、生活保護費で返済ができない


ただし、高齢者や障がいがある場合、転居の負担が大きいと判断されれば売却を急がされない可能性があります。
個別事情によって判断が左右されるため、不安がある場合は早めの相談を心がけましょう。

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生活保護と不動産売却の関係:家を所有したまま生活保護は受給できる?

生活保護と不動産売却の関係:家を所有したまま生活保護は受給できる?

先ほどの原則がある一方で、状況によっては「自宅を手放さずに生活保護を受給できる」特例が認められることがあります。
ここでは、自宅の所有が認められるケースや、売却指導の対象となる条件、所有を続けるためのポイントを解説します。

所有が認められる主なケース

高齢者や障がいのある方など、転居そのものが身体的・精神的に大きな負担になると判断される場合は、現在の住居をそのまま維持することが認められる可能性があります。
これは住み慣れた環境を離れることで健康を損なうリスクがあるためです。
また、住宅ローンの残債が大きく、売却しても債務が残る「オーバーローン」の状態で実質的に資産価値がないとみなされる場合も、所有が許可されやすい条件に該当します。
さらに、住まいの構造や周辺環境が介護に適していると判断される場合や、親族からの援助により返済の見込みがある場合も、住居の維持が許可されることがあります。
いずれのケースでも、診断書や訪問調査、家計の状況など複数の資料を総合的に確認したうえで判断されるため、早めに必要書類を揃えて事情を丁寧に伝えることが大切です。
事前準備が整っているほど、ケースワーカーや福祉事務所に状況を正確に理解してもらいやすく、スムーズな合意形成につながります。

売却指導を受ける条件

不動産の資産価値が高い場合には、売却して生活費に充てるよう指導を受けることがあります。
目安として、土地や建物の価値が著しく高額であると判断される場合(2,000万円を大きく超える場合など)や、自宅の一部を独立させて売却できる「未利用部分」がある場合などが挙げられます。
また、居住用ではない不動産については、生活維持に直接必要な資産ではないため、田畑・山林・空き家・駐車場などは原則として売却対象です。
ただし、農地などであっても、自立助長に資するなど、個別の事情により保有が認められる可能性もあり、「利用可能な資産を先に活用する」という原則に基づき厳格に確認されると考えておきましょう。

所有を続けるためのポイント

自宅を維持したい場合は、ケースワーカーに状況をわかりやすく説明することが大切です。
とくに以下のような資料を揃えておくと、判断材料が明確になり、相談が進みやすくなります。

●登記事項証明書(所有状況や抵当権の確認が可能)
●固定資産評価書・査定書(資産価値の妥当性を説明しやすい)
●家計簿(収支の透明性を示し、適切な管理ができていることを伝えられる)
●修繕履歴(住み替えるより現住居の維持が合理的である根拠になる)


また、自宅の一部を賃貸スペースとして活用する「賃貸併用」など、資産を適切に活用できる方法を提示することも、所有継続が認められるためのひとつの手段になります。
ケースワーカーとの協議を通じて、生活の安定と資産の適切な扱いを両立できる方法を模索することが大切です。

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生活保護と不動産売却の関係:売却後も家に住み続けるためのリースバックとは

生活保護と不動産売却の関係:売却後も家に住み続けるためのリースバックとは

売却しても住み続けたい場合は、リースバックという仕組みを活用できます。
最後に、リースバックの概要と仕組み、契約時に確認したいポイントを解説します。

リースバックとは

家を売却したあとも、買主と賃貸借契約を結ぶことで同じ住まいに住み続けられる方法が「リースバック」です。
まとまった資金を手にしながら、生活環境を変えずに暮らし続けられる点が大きな特徴です。
売却することで資産を現金化でき、固定資産税や修繕費など、所有者として発生していた負担もなくなります。
とくに高齢の方や転居が難しい方にとって、住み慣れた地域に留まれることは大きなメリットといえるでしょう。
一方で、売却後は「貸主=買主」「借主=自分」という関係になるため、毎月の賃料を支払う立場になります。
生活保護の利用を検討している場合は、住宅扶助の上限額に収まるかどうかが重要な判断ポイントです。
家賃が上限を超えてしまうと制度上の支給が認められず、結果的に住み続けられない可能性もあるため、賃料設定の妥当性を慎重に確認する必要があります。

契約時のチェックポイント

リースバックは便利な仕組みですが、契約内容によって将来の暮らしやすさが大きく左右されます。
買取価格は市場価格の7〜9割程度に落ち着くケースが多いため、一般的な仲介による売却よりもやや低くなることを理解しておきましょう。
続いて、提示された賃料が周辺相場に比べて高すぎないかどうかも重要です。
家賃が適正でなければ、長期的に住み続けることが難しくなります。
なお、長く住む予定がある場合は、更新が見込める「普通借家契約」を選ぶことが望ましいとされています。
定期借家契約は契約期間満了後の再契約が保証されていないため、長く住み続けたい方には注意が必要です。
将来的に家を買い戻したいと考えている場合は、「買い戻し特約」の有無や条件を必ず確認し、資金計画を立てておきましょう。

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まとめ

生活保護では収入・資産・能力活用の要件があり、不動産は原則として活用すべき資産と判断されます。
ただし、持ち家でも資産価値が高すぎない場合や、転居が心身の負担になる場合は所有が認められることがあります。
また、売却後もリースバックを利用すれば住み続けられる可能性があり、将来的に買い戻すことも可能です。

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新庄 延行

■キャリア
23年
■資格
宅地建物取引士

リゾート物件の活性化を目指し、休眠分譲地・空き家の再生・循環を目標とし活動しております。伊豆・熱海、甲信・中部、北関東・東北、近畿などその他エリアを含むグループ会社所有別荘地を販売しており、破格で別荘地をお求めになる事ができます。ご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

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