別荘の相続でも相続税はかかる?計算方法や相続したくない場合の対策を解説
別荘は、裕福な方が所有しているイメージのある不動産です。
そのため、別荘を相続することになり、「別荘の相続税は高額になるのでは」と不安を抱く方は珍しくありません。
今回は別荘の相続税をテーマに、相続税評価額の計算方法や、相続したくない場合の対策を解説します。
別荘を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
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別荘を相続すると相続税はかかる?
遺産を相続した方には、相続税が課せられる可能性があります。
遺産が別荘である場合も、例外ではありません。
相続税の課税対象額の計算方法は、下記のとおりです。
相続税の課税対象額=(プラスの遺産-マイナスの遺産)-基礎控除額
算出された金額に対して相続税が課され、相続割合に応じた金額を相続人それぞれが支払う仕組みとなっています。
一方で、遺産から基礎控除額を差し引いた結果が0かマイナスになった場合は、相続税は発生しません。
たとえ別荘の相続であったとしても、基礎控除額内に収まるのであれば、相続税はかからないのです。
相続税の基礎控除額は、下記の計算方法で求められます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば法定相続人が1人のケースでは3,600万円まで、2人のケースでは4,200万円までは、相続税が課せられません。
遺産が評価額5,000万円の別荘だけだと仮定すると、1人のケースでは1,400万円、2人のケースでは800万円が相続税の課税対象額となります。
法定相続人が5人の場合は基礎控除額が6,000万円となるため、「5,000万円-6,000万円=-1,000万円」となり、相続税は非課税です。
利用予定のない別荘でも相続税はかかる?
別荘を相続するものの、利用予定がなく、持て余してしまうこともあるでしょう。
そのようなケースでも、相続税は発生します。
利用する予定がないからといって、相続税の減額措置の対象とはなりません。
また、別荘は住宅などを相続した場合に利用できる「小規模宅地等の特例」の対象外です。
減額されることなく、別荘の評価額に応じた相続税がそのまま課されることになります。
相続税の納税方法は?
相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告と納付を済ませなくてはなりません。
相続の開始を1月10日に知ったのであれば、その年の11月10日が申告と納税の期限です。
期限が土・日・祝日などにあたる場合は、これらの日の翌日が期限とみなされます。
納税方法は、税務署や金融機関での現金一括払いが原則です。
ただし相続人の経済状況によっては、数年に分けて支払う「延納」や、現金の不足分を遺産で支払う「物納」も選択できます。
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別荘の相続税評価額の計算方法とは
相続税が発生した場合は、ご自身で税額を計算したうえで、申告と納税をおこなわなければなりません。
相続税の課税対象額の計算方法は、前章でご紹介したように「(プラスの遺産-マイナスの遺産)-基礎控除額」です。
この計算式で使用する遺産の額を求めるためには、まず遺産一つ一つの価額を算出する必要があります。
遺産には預貯金や株式、車、土地、建物など多くの種類があり、それぞれに応じた評価方法で価額を求めなくてはなりません。
別荘が一戸建てのケースとマンションのケース、それぞれの相続税評価額の計算方法は、下記のとおりです。
別荘が一戸建てのケース
相続する別荘が一戸建ての場合は、土地の評価額と建物の評価額にわけて計算します。
土地の評価額の計算方法には「路線価方式」と「倍率方式」があります。
どちらを使用するか確認するために、まずは別荘の所在地が「路線価地域」と「倍率地域」のどちらに当てはまるのか、国税庁のウェブサイトで調べましょう。
路線価(道路に面した宅地の1㎡あたりの価額)が設定されている地域であれば路線価方式を、それ以外の地域であれば倍率方式を使用します。
路線価地域にある土地の評価額の計算方法は、下記のとおりです。
相続税評価額=路線価×面積(㎡)×補正率
路線価に、別荘がある土地の面積と土地に応じた補正率を掛けて求めます。
補正率は、特殊な形状の土地の評価額を、利用しづらさなどを加味した価額に補正するものです。
国税庁が設定しており、たとえば普通住宅地区にある奥行4m未満の土地は、路線価に面積を掛けたあと「0.9」を掛けて価額を補正します。
一方、倍率地域にある土地は、下記の計算方法で評価額を求めます。
相続税評価額=固定資産税評価額×評価倍率
固定資産税評価額とは、固定資産が所在する自治体が固定資産ごとに定めた評価額のことで、固定資産税の課税明細書などで確認可能です。
倍率方式では、固定資産税評価額に国税庁のウェブサイトで調べられる評価倍率を掛けたものが、土地の相続税評価額となります。
建物の相続税評価額は、どちらの地域でも固定資産税評価額がそのまま使用されます。
別荘がマンションの場合
別荘がリゾートマンションでも、土地と建物に分けて計算する方法は同じです。
ただしマンションの場合は土地をほかの住戸の所有者と共同所有していると考えるため、先ほどご紹介した計算方法で土地の相続税評価額を求めたあと、さらに敷地権の割合を掛ける必要があります。
たとえば土地の相続税評価額が10億円で、敷地権の割合が「7,500/2,000,000」の場合は、「10億円×7,500÷2,000,000=375万円」が相続税評価額となります。
土地の面積や敷地権の割合は、登記簿で確認可能です。
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別荘を相続したくない場合の対策とは
別荘を相続すると、たとえ利用予定がなくとも相続税がかかります。
別荘の相続税には、減額措置がありません。
また、バブル期に購入した別荘などは相続税評価額に比べて時価が下がっているケースも多く、相続後に売却したとしても安値での取引となる可能性もあります。
そのため、別荘を持て余してしまう方や相続税を支払いたくない方は、相続する前の対策が重要です。
別荘を相続したくない場合の対策として、「相続放棄」「物納」が挙げられます。
相続放棄
相続放棄を選択すると、最初から相続人ではなかったことになり、別荘の相続を回避できます。
ただし、別荘のみを放棄することはできません。
相続放棄を選択すると預貯金などの相続もできなくなるため、よく考えたうえで判断しましょう。
相続放棄を選択すると決めたら、相続の開始を知った日から3か月以内に、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てなくてはなりません。
期限を過ぎてしまったり、単純承認をしてしまったりすると、相続放棄が認められなくなります。
遺産分割協議に同意する、被相続人の不用品を処分するなどの行為も単純承認にあたるため、慎重に行動しましょう。
物納
経済状況によっては、相続税の納付方法として「物納」も選択できると、先ほどご説明しました。
別荘を相続したくない場合は、相続税の物納制度を利用して、別荘を相続税代わりに納める方法もあります。
物納制度を利用するのであれば、相続税の納付期限まで、もしくは相続した年の翌年2月1日~3月15日に申請しなくてはなりません。
物納には細かい規定があり、必ずしも受理されるわけではないため注意しましょう。
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まとめ
利用予定のない別荘であっても、相続発生時には一般的な不動産と同様に遺産として扱われます。
別荘を含む遺産の総額が基礎控除額を超えている場合は、相続税を支払わなくてはなりません。
バブル期に購入した別荘などは、相続税評価額よりも時価のほうが安いケースが多く、売却したとしても安値での取引になる可能性があります。
そのため、別荘を相続したくない場合は、相続放棄や物納などの対策を講じることが大切です。
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